第4章 産地・銘柄・等級の持つ意味

お客様が一般的に目にされるコーヒーの商品名は、小売店(デパート・スーパー・自家焙煎店など)では、
コロンビアであれば「コロンビア」とだけ、ブラジルなら「ブラジル」とだけ表示されることが多く、
コロンビアのどういう豆なのか、ブラジルの何なのか、という表示はなかなかされていません。
極端な表現をするならば、売り値を安くするための豆なのか、品質を考えた豆なのか、が
この表示だけではわかりません。

農産物ですから、前に述べたように、生産地では気候や風土の違う多くの地域で
コーヒーが生産されています。
たとえば、ブラジルは日本の国土の20数倍もある広い国土です。
日本の南北に長い国土でさえ風土の違いがあるのですから、
単なる商品名(国名など)の表示だけでは、お客様が、同じ商品名のコーヒー豆は
全て同じなのではないか、と誤解してしまう可能性があります。

  ★ 産地・銘柄・・・・・・生産地では、土地によって気候・風土に違いがあります。
               それは、土壌の質や標高(寒暖差)、山の斜面の方角(日照時間)、
               どの方向からどんな風が吹いてくるのか、等の違いです。
               その土地よって実のつき方が違いますので、味も当然違ってきます。
               また、生産者がどの品種を植えているのか、どのように精製処理がされるのか
               によっても大きく味は異なります。

 
 等級・・・・・・・・・・・良質なコーヒーを産する生産地でも、すべてがいい、というわけではありません。
               コーヒー豆の粒の大きさ、欠点豆等の混入、味はどうであるか、などによって
               等級が決められます。

ベートーベンでは、商社からその時々の正確な情報をいただき、生豆と煎り豆のサンプルテストを
おこない、品質重視で生豆を選択しています。
コーヒー生豆を仕入れるに当たり、、確かな品質の生豆を切らすことなく供給を受けることが
できなければ、オリジナル商品としての味や香りを追求し、お客様へ提供し続けることは困難です。

品質と、店としてのオリジナリティーを追求するためには、生豆の価格(安値)で扱う商品を
選ぶのではなく
、良質な味と香りを生み出す、特定の産地と銘柄、そして最上級の生豆を選ぶことが
必要なのです。

世界のコーヒー豆の生産量(アラビカ種)のうち、主要生産国で全体の6〜7割を占めています。
特に、ブラジル・コロンビア・インドネシア(マンデリン)の占める割合は大きく、
それが世界のコーヒー価格をも大きく左右してしまいます。(ロブスタ種の生産量も影響します)
それは、消費国から主要生産国への需要が多い、ということでもあります。

焙煎豆を提供する側(メーカー・ロースター・自家焙煎店など)が、
その3種類の生産国の豆をどう位置付けるかで、その店のあり方・姿勢が自ずとわかると思います。
需要の多い生豆に良いものを使わずに、他の生豆(グァテマラ・エチオピア・タンザニアなど)で
良い物を使うわけがない、ということです。

注)生産地の輸出業者(シッパー)や輸入商社が、産地で生豆の段階でブレンドをおこない、
  ひとつの銘柄としてその産地の味を作り出している場合もあります。